空手を始める前に

予備運動について

ウォーミングアップは、すべてのスポーツや武道を行う前に是非行わなければならない軽い運動である。それは身体全体を柔軟にし、血行を盛んにし、諸関節を静止の状態から活動へと無理なく移行させる為のものであるから、少ない時間で最も効果のあるものを採り入れなければならない。

 

従って下腿から、腰、上体、頸部の順に行い、なお体全体に柔軟性を与えるようリズムのある軽い全身運動で閉じること。

基礎体力の鍛錬について

空手道の特色の一つは、当身の力をつけることにある。物理学の法則によると、速さに重さを加えたものが大であればあるほど、それに比例して物を破壊する力は大きくなる。速さ、即ち筋骨のスピードは、形や組手空間突きなど伸筋の鍛錬によって得られるが、空手においては速さに重さが加わらないと、完全な当身の力は発揮出来ない。そこでどうしても重さを作るために基礎体力の訓練が必要とされる。

 

空手道における理想的重さとは、その人の身長に応じて重すぎず軽すぎず、スタミナがあり、身体のさばきが自由にきく重さをいう。しかし、単なる物理的な速さと重さを作るのではなく、敏捷性、柔軟性、器用性、持久性などがあいまって、スピードに筋力を加えたパワーでなければ生きた武術としては用いられない。

敏捷性、柔軟性、器用性は形や基本動作や組手などの鍛錬から得られるが、理想的体重で持久力のあるパワーを身につけるにはチーシー、サーシ、バーベル、鉄亜鈴、握り甕などの器具を用い、或いは腹筋運動や縄跳びなどによって、その人の身体に負荷する十分な基礎体力の鍛錬がなされなければならない。